2016年09月14日

鏡越しに

俺は一人暮らしの社会人。この前、夜中、風呂から上がって鏡見ながら髪乾かしてた。

ふと鏡の端の方に視界を移したら、俺の背後にある扉のわずかな隙間から誰かが覗いているのが映っていた。

俺はかなりビビって視線をそらし、怖いので後ろを振り返る事が出来ずに固まってしまった。

しばらくし、もう一度視界を鏡の端に移した。だがもう「顔」はなかった。

気のせいだったかと思いながら何気無く鏡の右上角に目をやった。

あった。「顔」はまだ覗いていた。天井の高さ位の所から。

よく見るとそれは本当に顔だけだった。髪や耳などなく、顔の部分だけが浮いてるような感じに見えた。

俺は悲鳴を上げながら思いきって扉を蹴り開けた。

何もいなかった。だが、あれは見間違いなどでは絶対ない。今でも覚えている。

あの満面の笑みをした表情のように見えた「顔」を。

それ以来、扉やふすまは必ず完全に閉めるようにしている。
posted by 朱雀門の鬼 at 02:20 | 怖い話(短い話)
2016年09月08日

うつろな目

小学4年の時、友達に漫画を借りる約束をしていて、学校帰りに友達の家へ寄った。

友達の家の前で友達が出てくるのを待っていたら、向かいのボロい平屋の窓のカーテンの隙間から若いのか年食ってんのかわからんが長くてボーボーの髪をした痩せこけた女がうつろな目で俺を見てた。

最初は気のせいかと思ってたがずっとこっちを見てる。

しかもその窓の位置が目の高さと同じくらいなもんだから余計に気持ち悪かった。

友達が出てきたらサッとカーテンを閉めた。

その後も何度か友達の家に行くたびにその女を見た。

友達は何も言わなかったから、ちょっと頭のおかしい人なのかな、くらいに思っていた。

その友達ともクラスが変わってから前ほど遊ぶ機会がなくなり家にも行かなくなったが、 何年か後にその女の話をした。
そしたらあの家は空き家だ、10年以上誰も住んでいないと友達の母親に聞かされ

でも見たと言い返したら、今度は友達に2年生の時に勝手に入って遊んだだろ、と言われた。

俺は言われるまで忘れていたが、確かにあの時あの平屋に勝手に入った。

確かに空き家だった。

でも俺は見た。絶対見た。
posted by 朱雀門の鬼 at 21:48 | 怖い話(短い話)

警部補

とある田舎警察であった話。

ある朝、若い巡査が出勤したところ、制服に付ける階級章を忘れたのに気付いた。
自宅に取りに帰る時間もなく、かといって階級章無しでは制服は着れない。

更衣室で途方に暮れていたところ、上司である警部補が親切に言ってくれた。
「俺の階級章が余ってるから、使えよ。なあに、一般人にはわからないから大丈夫さ」
巡査は上司の心遣いに感謝しつつ、警部補の階級章を付けて勤務に就いた。

その日の夜、検問中に暴走車を停止させようとした巡査は、その車に撥ねられて殉職した。
巡査は死後、二階特進の規定により、警部補に昇進したという。
posted by 朱雀門の鬼 at 21:45 | 怖い話(短い話)